*整形人間*

「いらっしゃい。今日も来てる。」

クスクスと笑いながら隣に座ると、あなたは頭をかきながら目を逸らした。

照れてる仕草。
左手薬指には指輪の痕。


この高級クラブに通うには、お金も沢山いるのに。
あなたは2日と空けずにわたしに会いに来てくれる。


指輪の痕がつくほどにはめている“それ”を簡単にはずしてくれるのね。


一昨年、お父さんの跡を継いで5代目社長になったあなた。
その就任と同じに学生時代からのお付き合いの奥様と結婚した。


小さな体に真っ白なウエディングドレスのよく似合う、可愛い人。


結婚はまだ早かったかな。って、酔っ払ってつぶやいて居たのはつい先月。

もう、私達も27歳。

偽物のわたしになって早5年。



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