ヒメ恋~Eternal Love plus+*~
美海がクスクス笑いながら耳打ちする。
「もっとかっこよくなってドキドキしちゃう」
言葉も声も、耳にかかる熱い吐息も、美海の全てがオレの中の“男”を呼び覚ます。
どうして昔、気づいてやれなかったんだろう。
そうしたら美海を泣かせることはなかったのに。
たった1人、慣れないアメリカで隠れるように里海を生ませることもなかったのに。
後悔してもしきれない。
「美海…ずっと1人にして…泣かせてばかりで本当にごめん」
「え?」
「昔…まだ結婚する前、オレは美海を泣かせてばかりで…たくさん傷ついたろ?」
「……」
返事がないのが答え。
無言は肯定。
美海はオレの首に顔を埋めた。
「今さらこんな話…聞きたくないよな。でもオレ、ずっとあの時のこと後悔してるんだ……」
「……ないで」
「え?」
「もう…過去に縛られないで…」
「美海…?」
顔をあげた美海の頬には涙の筋が光って見えた。
「確かに昔、泣いてばかりだった。…だけどそれは海里のせいじゃない」