ヒメ恋~Eternal Love plus+*~

「いや、オレのせいだよ」

「違うよ海里。あれはあたしが選んだ道。苦しいの分かってて選んだの」

「でも……」

「海里だって苦しかったでしょ?」

「オレの苦しみなんて、美海に比べれば大したことない」


美海じゃなく婚約者を選んだのは、間違いなくオレ自身だから。


「ウソつき」

「…え?」

「そうやっていつまでも後悔してるくせに」


ふっと笑った美海がとてもキレイで目が離せなかった。


「あたしは過去なんてとっくに忘れたよ?」

「そんなはず……」

「だって苦しかった過去を全部海里がイイ思い出にしてくれたから」


美海の両手がふわっとオレの頬を包み込んで、唇に甘い感触をくれた。


「海里はこうやってたくさんキスをくれた。たくさん言葉で伝えてくれた。たくさん身体で伝えてくれた。『愛してる』って気持ち」

「美海…」

「海里にもらったたくさんの想いが、全部幸せな記憶に書き換えてくれた。それに……」

「それに?」

「あの時傷つけあったから……今こうしてる時間がすごく幸せだって思える」


美海の言葉がスーッとオレの心に入ってくる。

心のどこかで燻ってた後悔の塊が、美海の温かい言葉で溶かされていく。


< 25 / 32 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop