ヒメ恋~Eternal Love plus+*~
「いや、オレのせいだよ」
「違うよ海里。あれはあたしが選んだ道。苦しいの分かってて選んだの」
「でも……」
「海里だって苦しかったでしょ?」
「オレの苦しみなんて、美海に比べれば大したことない」
美海じゃなく婚約者を選んだのは、間違いなくオレ自身だから。
「ウソつき」
「…え?」
「そうやっていつまでも後悔してるくせに」
ふっと笑った美海がとてもキレイで目が離せなかった。
「あたしは過去なんてとっくに忘れたよ?」
「そんなはず……」
「だって苦しかった過去を全部海里がイイ思い出にしてくれたから」
美海の両手がふわっとオレの頬を包み込んで、唇に甘い感触をくれた。
「海里はこうやってたくさんキスをくれた。たくさん言葉で伝えてくれた。たくさん身体で伝えてくれた。『愛してる』って気持ち」
「美海…」
「海里にもらったたくさんの想いが、全部幸せな記憶に書き換えてくれた。それに……」
「それに?」
「あの時傷つけあったから……今こうしてる時間がすごく幸せだって思える」
美海の言葉がスーッとオレの心に入ってくる。
心のどこかで燻ってた後悔の塊が、美海の温かい言葉で溶かされていく。