愛してると言えなくて…
尚はかばんをなげつけ
自分のベッドにボフンと飛び込む
「アタシ…何いってんだろ…」
『父さんが帰ってこないからって私にあたらないでくれる?』
ここ2週間父はまともに家に帰ってきていない…
以前から12時や1時に帰ってきたり
時には2日間帰ってこないこともたびたびあった
だが2週間も帰ってこないということは初めてだ…
母もそれから料理も掃除も疎かになり
ほとんど一緒に住んでいる祖母がやってくれていた
「尚ちゃん。ごはん…」
祖母が優しい声でドアの向こうから呼ぶ
「ごめん、おばあちゃん。今は食べられないや…」
「そう…。おなかがすいたらおりてきなさい…」
「うん。ありがと…」
祖母の階段をおりる音が響いた