明日を生きる君へ

約束

「先生！おはようございます！」

「おはよう！ゆうとくん今日も元気ね！」

今日は桜が綺麗に咲いていて、とてもいい一日になりそうな気がしていた。

僕の名前は佐々木祐人。元気いっぱいでとても一途な小学二年生。
実は僕は一年生の頃からとても大好きな人がいる。名前は中山奈緒。同じマンションなんだ。僕は３階で彼女は７階に住んでいる。

僕は彼女とある秘密の約束をしている。
それは…結婚。彼女も僕の事が好きだと言ってくれていた。僕も大好きだった。

告白したのは、ちょうど今頃の桜が綺麗な春だった。

「大人になったら結婚しようね」
って言ってくれた彼女はとてもえがおでとても可愛かったのをまだ覚えている。

これが僕と彼女の秘密の約束。

毎日、彼女の事を想う日々がいつまでも続くと思っていた。
しかし現実はそんな甘くはなかったんだ。神様は僕と彼女を長い間引き離した。

ある日、彼女から電話がかかってきた。

「あっ！もしもし。ゆうとくん?」
いきなりの彼女からの電話で僕は嬉しかった。

「もしもし?奈緒ちゃん?どうしたの?」

僕は早く内容を聞きたかった。

「あのね…びっくりしないでね。ちゃんと聞いてほしいの。ゆうとくんにだけは言わないといけないと思って。
あの…私ね、あした転校するの。福岡に。」

その瞬間、まだ幼かった僕の目には涙があふれていた。

「じゃあ…あの約束は無理だね！」


「あのね…」

ガチャ…
僕は電話をきった。
何もなかったかのように。

次の日、僕は学校を休んだ。
それは、彼女に会いたくないから。
ただそれだけ…

「明日から奈緒ちゃんはいないんだ…」

そう思い僕は泣きながら寝た…

何時間くらい寝たんだろう。
僕はやっと起きた。
いきなり、お母さんが僕の部屋に来た。

「ゆうと、奈緒ちゃんが来てるわよ?」

僕はベットから起き、涙を拭いて階段を降りた。

ガチャ…
玄関を開けるとそこには奈緒ちゃんがいたんだ。悲しい顔をして…

「ゆうとくん…最後にもう一度ゆうとくんの顔を見たくて…でもまた会えると思うよ！絶対！」

そう言い残して奈緒ちゃんは僕の前からいなくなった。