夏恋



男性に手を引かれたまま、私は近所の小さな公園のベンチに座らされた。





「はい。」


男性は鞄から出した温かい缶コーヒーを渡してくれた。





恐らく近くの自販機で自分用に買ったものだろう。







「モテる女の子も大変なんだねー」


私の横に座ったあの人は言った。




「…モテるわけじゃありませんから…。
それよりも助けていただいてありがとうございました。えーっと…」



「高橋 優(タカハシマサル)」


「高橋さん…」


「そういえば名前言ってなかったよね。紗亜耶ちゃん♪」





無邪気な笑顔





先ほどの声からは想像できないような子供のような笑顔だった。




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