約束-promise memory-
「塁は、帰らないの?」
「職員室寄って帰るから」
「そっか。じゃ、明日ね」
「おう」
私はカバンを持ち、柏木君との待ち合わせ場所に向かうため、教室を出ようとした。
すると塁が言った。
「迷惑なんて思った事ないから」
「え?」
私は塁のところに振り向いた。
「お前が壱の事どれだけ想ってたか、俺が一番よく知ってるから。お前が壱の事未だに想ってるのも分かるから。だから、辛くなったら言えよ。一人で解決出来そうになかったら言えよ。俺はいつでもお前のそばにいるから」
「塁」
「じゃーな。頑張れよ」
そう言って塁は、教室を出た。
涙が出てきた。
今から柏木君に会うのにこんな顔で大丈夫かな。
――――塁、ありがとう――――
だけどこれが、塁の告白交じりの励ましの言葉だなんて思ってもいなかった。
それは塁に対して、友達としか思ってなかったから。
大切な大切な親友としか思ってなかったから。