約束-promise memory-
「よし!」
校舎の影から、柏木君がいる事を確認して、泣いた後がないか鏡で確かめる。
「うん、大丈夫!」
私はちょっと小走りで、柏木君に駆け寄った。
「柏木君!ごめん!待った?」
「大丈夫。今来たから」
本当は、私より前から待ってたの知ってる。
何気ない優しさが、余計"壱"を思い出させる。
だけど態度は相変わらず冷たい。
「で?話って?」
「あ、あのね。どこからどう話せばいいのか分からないんだけど、その…」
「……」
「柏木君がね、私の大切ね人に似ているの」
「何度か俺の事"壱"って言ってた人?」
「そ、そう!」
「顔も似てて名前も同じなんだ、凄いね。だけど、俺はその人じゃないよ。何回か言ってると思うけど」
「う、うん。そう……だよね」
すると柏木君は木に持たれかかり、空を見上げて聞いてきた。
「もし、俺がその人なら、どうしたいの?」