約束-promise memory-
さっきまで柏木君にくっ付いて離れなかったその"若菜"という子が、私達を呼び止めた。
「あなた、南沢凛さんですよね?」
「え?」
何でこの子、私の名前知ってるの?
「そ、そうですけど……」
「壱には悪いけど、あなたの事調べさせてもらったわ」
「私の、事?」
「おい若菜!いい加減にしろ……帰るぞ」
「嫌よ壱。私、今日は他の用事もあって来たの」
「あ、あの。病院で会いましたよね?」
「ええ、私もよく覚えてるわ。だってあの時、壱のお母様も、あなたを久しぶりに見るかのような目をして見てたから」
「柏木君の……お母さん?」
あの車イスのおばさんの事?だよね?
「若菜!これ以上言うと……!」
「あなた、壱の昔の恋人でしょ?小学校の頃に壱に捨てられた、南沢凛さんでしょ?」
一瞬、世界が変わった。