約束-promise memory-
「それ……どういう事?」
「気にしなくていい。こっちの話だから。行くぞ若菜」
柏木君が、若菜さんの腕を掴んで連れて行こうとしたけど、若菜さんはそれを拒否した。
「あなたが会いたがっていた、保科壱君」
「若菜!」
「…………彼よ」
勝ち誇った笑みを浮かべ、柏木君を見た後に、私を見た若菜さん。
柏木君は、目を瞑って深い溜め息をついた。
「じゃ……柏木君は」
「"保科壱"だ」
意外にもそう言ったのは、私の後ろにいた塁だった。