約束-promise memory-





-塁 side-




壱に近付いてきた女。


壱とどんな関係かは知らないが、凛とは会わせたくなかった相手って顔している。

壱のやつ。


若菜とか言ったか。



この女が言ってしまった。


とうとう、柏木は保科壱だと。



だけど凛は、分かってるはずだけど、頭の整理が出来ないのか、言葉が小さくなっている。


もうこうなったら、内緒にする必要ないよな?


俺は嫌われてもいい。


凛、お前の会いたがっていた壱が今お前の目の前に居るんだ。


5年待った気持ち、あいつにぶちまけていいんだぞ。



「保科壱だ」




だから俺は、柏木が保科壱だと言った。






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