約束-promise memory-
-凛 side-
「ああ。ただいま……」
壱は、行ってしまった。
「もう邪魔はしないでね?南沢さん」
若菜さんは私にそう言って、壱の腕に自分の腕を絡め、自慢げな顔で壱と並んで歩いた。
壱の横。
5年前は私の場所だったけど、今は違う。
この日から、私と壱と塁の関係は、崩壊した。
いつまでも続くと思っていた日々が、夢のように消えた。
きっとあの日の出来事は、全て夢だった。
そう思いたかった。
5年前とは違う壱が、そこには確かに存在した。