約束-promise memory-
-塁 side-
壱の姿が見えなくなるまで、凛はその場に立ち尽くして居た。
「凛、ごめん俺……」
とにかく謝らないと、黙ってた事。
「ねぇ塁、壱……大人になったんだね」
「ああ」
俺は凛の後ろ姿を見て、凛が今どんな表情をしてるか考える。
きっと、切なく笑ってる。
壱が居なくなった時は、泣いて泣いて……涙が枯れるくらい泣いていたあの日とは違い、17歳になった凛は、今の壱に優しく「おかえり」と言った。
凛も十分、大人になったなって思った。
だけど、心や精神はきっとボロボロなんだろ?
本当は大声で泣きたいくせに。
「帰ろう!塁」
笑顔で俺のところに振り向いて言った。
「俺の前でそんな顔するなよ」
「え?」
「無理に笑ってんなよ。何で強がるんだよ?」
「別に強がってなんか……え…ちょっと、る、塁?」
俺は、凛を抱きしめた。