約束-promise memory-





何時間母さんの部屋に居たのか、外はすっかり暗くなっていた。




「ごめん母さん。俺、もう帰るよ。明日も学校だし」


「わかったわ」



イスから立ち、病室のドアに手をかけた時、母さんが呟いた。



「壱、もういいの。あなたの好きに生きなさい」



俺は何も答えず、部屋を出た。




俺の人生の時計は、凛との約束を破った時点で、止まっている。


好きに生きろと言われても、その生き方がわからない。


もう二度と凛をこの手で抱きしめる事なんて出来ないのに。




静まった病院の廊下は、俺の足音だけが響く。






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