約束-promise memory-





-塁 side-




俺は、壱の全てを知ってしまった。


親父や兄貴から、壱の過去を知らされるなんてな。


本当は、壱に全てを話して欲しかった。


もっと早く知っていたら、俺はきっと凛には告白なんてしてない。


壱の全てを凛が知ったとしたら、凛はきっと、悲しむ。


凛は、好きな奴に裏切られたとわかっても、優しく出迎える。



そんな女だから。



俺らが知らない壱の5年間の苦しみを、凛はきっと、理解したい、助けたいと思うはず。


そしたら俺の役目はやっぱり、2人を支える親友ってとこか。




夜が明ける。




何かを知らせるかのように、ゆっくりと朝がやってきた。







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