約束-promise memory-
「凛、おはよう」
「あ、塁…おはよう」
顔をあげた凛を見て、正直驚いた。
泣いたのか…顔色が悪い。
「これ、おばさんから。渡してくれって頼まれた」
俺は弁当を凛に差し出した。
「ありがとう」
「寝てないのか?夜と朝も何も食ってないっておばさん心配してたぞ」
「うん」
「ほれ。これなら食えんだろ」
俺は、コンビニに立ち寄って買ったプリンを渡した。
「塁…ありがとう」
「おう」
そんな俺達の横を、壱が通り過ぎた。
そして、壱が立ち止まった。
「おはよう」
壱が、俺らに背を向けたままそう言った。
「おはよう」
凛は、消えそうな声でそう言った。
それを聞いたら壱は、すぐ席に着いた。
壱。
凛は、そのまま下を向いてしまった。
俺はそんな凛の頭をグシャとして、席に着いた。