約束-promise memory-
「何よそれ…!」
茜だ。
「柏木君が婚約してるなんて」
「だけど、壱の言う通りかもしれない」
「凛々?」
「あの時は私も壱も小学生。子供の頃の約束なんて、そんなものなのかも。たいした約束ではないのかもね」
「じゃ凛は、それで納得したの?」
茜が凛に強く言った。
「……それは」
「凛は、それでいいの?」
「茜、落ち着こうよ」
涼が茜に言った。
「凛は私の親友なの!そんな凛が、こんなに苦しんで悲しんでるのに、黙って見てらんない!それに、凛だって納得いってないんでしょ?柏木君と凛と塁の関係は、私達より深くて、私達では深入り出来ない問題な事くらい知ってるけど、私許せない」
そして、茜がスッと立ち上がった。
「茜?」
「柏木君のところに行ってくる」
「え?ちょっと茜!?」
「茜!本当に大丈夫だから…茜の気持ちは嬉しいから」
凛が茜にそう言うと、茜は凛に背を向けたまま言った。
「なら、何で泣いてるのよ。凛にそんな顔させるなんて私は許せないよ」
誰もが黙っていたけど、壱の話をしてる時、凛は何度か涙を流していた。
茜はそれを言い残し、屋上を出た。
「茜!…俺ちょっと行ってくる!」
茜に続き、涼も屋上を出た。