約束-promise memory-
-壱 side-
「柏木君!」
木の下で昼寝をしていたら、俺を呼ぶ女子の声がした。
俺は目を開け、その声の主を見た。
(確か凛の友達の、桑島茜と…宮越涼だっけ)
「何?」
「どうして凛にあんな事言ったの?」
凛?
その様子じゃ、全部を知ってるんだな。
「俺は本当の事言っただけだけど」
「ほんと最低ね、柏木君って」
「おい茜!もういいだろ?行こうよ」
「涼は悔しくないの?凛があんな苦しんでるのに、悲しんでるのに助けてあげられない事!悔しくないの?」
凛が、苦しんでる。
悲しんでる。
俺のせい…だよな。
「それだけ?それだけなら俺、教室戻るけど」
「せめて裏切った事を謝りなさいよ!悪かったって、ごめんねって!謝りなさいよ!」
「謝ってどうなるわけ?」
「は?」
「俺が謝ったところで、俺はもう凛とは一緒にいられない。じゃ」
俺は、少し素になってしまった。
俺の思ってる事が口に出てしまった。
凛、いい友達見付けたみたいだな。
少し、安心した。
「何なのよ。今のは」
俺は、その場を立ち去った。