約束-promise memory-
涼が、「茜には絶対言わないで!」と言って、照れ隠しなのかヘッドホンを耳に当てた。
顔が真っ赤な涼に、「頑張ってね」と、心の声で言ってあげた。
その時、私のすぐ側にある、屋上のドアが開いた。
「あ、すみません・・・・」
邪魔になると思い、弁当やカバンを端に寄せ、ドアから入ってくる人物を見た。
"柏木壱君"が立っていた。
柏木君は、私を一瞬見て、スタスタと屋上の奥のベンチに向かった。
柏木君に見られてる間、心臓が飛びでそうなくらいうるさかった。
私は、どれだけ過去への執着心があるのかと思うくらい、自然と柏木君を追っていた。
「ちょっと、凛々?」
涼が私を呼んだが、そんなの気づかないくらい、私は柏木君しか見てなかった。