約束-promise memory-





涼が、「茜には絶対言わないで!」と言って、照れ隠しなのかヘッドホンを耳に当てた。


顔が真っ赤な涼に、「頑張ってね」と、心の声で言ってあげた。




その時、私のすぐ側にある、屋上のドアが開いた。



「あ、すみません・・・・」



邪魔になると思い、弁当やカバンを端に寄せ、ドアから入ってくる人物を見た。




"柏木壱君"が立っていた。



柏木君は、私を一瞬見て、スタスタと屋上の奥のベンチに向かった。



柏木君に見られてる間、心臓が飛びでそうなくらいうるさかった。



私は、どれだけ過去への執着心があるのかと思うくらい、自然と柏木君を追っていた。



「ちょっと、凛々?」



涼が私を呼んだが、そんなの気づかないくらい、私は柏木君しか見てなかった。








< 16 / 309 >

この作品をシェア

pagetop