約束-promise memory-
凛は、その声の方向に振り返った。
「茜!」
「もう!遅いから…あ、柏木君」
俺はギリギリのところで、凛に伸ばした手を隠した。
「ごめん茜!もう戻るから」
「あ、う、うん」
「壱、さっきの話、私本気だから。返事また聞かせてね?じゃ」
凛は、桑島と一緒に体育館へ戻った。
「クソッ!……」
はぁ。
悔しいことばかりだ。
俺はその場で胸の痛みを感じながら、凛の優しさを目の当たりにして、自分のした事の全てを、ただただ後悔するだけだった。