約束-promise memory-
【Memory.12】壱と塁
-凛 side-
「柏木君に?」
「うん」
私は茜に、さっき壱と話していた事を説明した。
「そっか。でも凛…」
茜が、私の目を真っ直ぐ見つめ聞いてきた。
「凛の気持ち、分からなくはないけど、私は凛が傷つくのは嫌だよ?」
「茜」
「本当に、柏木君をトモダチとしてこれから見れるの?辛い思いとかしたりしない?」
私は、首を横に振った。
迷いはなかった。
壱とトモダチからやり直したいと思う事に。
「だって、壱に逢えた。逢いたい人に逢えたの!何もしないで、ずっとギクシャクしてる方が辛いよ」
「よし!わかった!凛には負けるよ。あんたって本当に強いよね」
「私は強くなんかない…強くなんかないよ。ただ、壱の幸せをそばで見守りたいだけ。壱は私の初恋の人だから、幸せになって欲しいの」
「凛……」
茜は、私の目をずっと見つめていた。
「茜?」
「あ…ごめん、何でもないの」
茜は、ははって笑って、前を向いた。
茜、何かあったのかな?