約束-promise memory-
「塁、前に俺に聞いたよね?「凛の事まだ好きなんだろ」って」
「ああ」
壱は俺を見て、
「好きだよ。ずっと」
そう言った。
はっきり聞こえた壱の声。
その声に力はなく、もう全てを失った声。
俺は壱の言葉ややる気のなさに、だんだんイラついてきた。
「俺は、凛とお前の前から消えた日、誓ったんだ。「二度とお前達には関わらない」って。だけど、お前達の前に戻ってきた」
「……」
「側で…凛の側で、凛の幸せを見守りたいと思ったから」
全て、俺が予想した通りだ。
壱はやっぱり、凛の事が忘れられなくて戻ってきた。
凛の幸せを見守りたいから。
「だけど間違いだった。ここへ来たの」
「間違い?どういう事だよ」
「間違いと言うより、後悔…かな。お前達といる凛は、幸せそうだよ。それは、お前が凛のそばにずっと居たからだよな」
壱は、地面に視線を移す。
「俺から裏切って凛を傷つけたのに、今更後悔してる自分がいる。塁に凛を託したつもりなのに、お前に嫉妬する自分がいる。最低だよな……お」
"グイッ!"
「塁……」
「俺らに"壱じゃない"って騙しておいて、バレたとたん、何弱気になってんだよ」
俺は、壱の胸ぐらを掴んで言った。