約束-promise memory-
「壱、悪い…昨日殴ったりして」
「なんだよ。そんな顔するなって」
「同情じゃないぞ?」
「ああ。分かってる。俺も、昨日は悪かった」
壱が、笑った。
なんだか俺は、壱との間にある、一つの大きな壁を超えられた気がした。
今までの隙間を埋められた気がした。
壱が照れながら聞いた。
「なぁ塁、俺らってまた一緒に笑えるかな?」
「当たり前だろ。バーカ」
5年。
長かったけど、意外に短かったのかもしれない。
俺と壱はすごい不器用に、難しく考えていたのかもしれない。
話せば分かる。
話し合えば理解出来る。
すぐ分かり合えたかもしれないのに。
俺らは少し遠回りをしたのかもしれない。
ただ、それだけ…それだけの事。
「んじゃ、今日の試合!思いっきり行きますか」
「だな」
俺らは、拳と拳をぶつけ合った。
親友って、そんなもんだろ?
な、壱。