約束-promise memory-
屋上へ上がる階段の途中、私は足を止めた。
「……塁」
「そろそろ来る頃だと思った」
階段の途中、壁にもたれかかっている塁がいた。
「壱のとこ行くんだろ?」
「うん。全部、話してくれるって言ったから」
「そっか。お前、大丈夫なのか?」
「本当はちょっと不安。だけど、知りたい。塁は……」
「何?」
「……たぶん全部知ってるんだよね?」
「まぁな……」
そう返事をした塁は、目線を私から外した。
「泣いちゃったら塁の胸を借りようかな?」
私は階段を上がりながら、笑いながら言ってみた。
「いいよ。別に」
塁はそれに、真剣に答える。
「だけど、逆に笑っちゃったりして?」
私はさらに、明るく返す。
「だったら、一緒に笑ってやる」
「……塁、優しすぎ」
私は、塁を見ずにそう言った。
「俺は、ずっとお前の味方で居たいから」
私はゆっくり階段を上がって、「ありがと」って答えた。
……ありがと塁。
私が不安な時は必ず塁が居て、私を勇気づけてくれる。
私にとって塁は。
――――――塁は。
どんな存在なんだろう。