約束-promise memory-
-凛 side-
壱から聞かされた壱の過去。
私は、涙が止まらなかった。
壱は一体、どれだけ苦しんできたのか。
それを考えただけで、悲しみでいっぱいだった。
壱の苦しみに、何で気が付いてあげられなかったのか。
壱はもう、立ち直ったつもりだって言っていたけど、本当はまだ苦しんでいるはず。
私に出来る事があるならしてあげたい。
そう考えていたら、頭に温かい何かが触れた。
顔をあげると、壱の優しい顔が私を見ていた。
壱は、私の頭を優しく撫でたあとすぐ、私を抱き締めた。
「え?い、壱?」
「少しだけ、このままで居させて」
私を抱き締める壱の腕が、強くなるのがわかる。
私を抱き締めながら、壱は私に言った。
「凛、このままもうひとつ、聞いて欲しい事がある」
壱は、少し低い事で言った。