約束-promise memory-
「何?壱…?」
「俺は、若菜とは結婚する」
「…うん」
「凛を、幸せにするって約束、ずっと一緒にいるって約束、守れそうにない」
「…うん」
「だけど俺は、凛と過ごした時間とか、凛を好きになった事とか、絶対忘れない」
「……」
それは、私達がもう二度と、一緒になれない事を意味する言葉。
壱に逢えただけでも十分だって思えたのは…なぜなのか、この時の私はよくわからなかった。
でも、すこし悲しい気持ちになったのも事実だよ。
「ごめんな、凛。そして今までありがとう。凛に逢えて本当によかった」
「…ッ…壱」
私を抱き締める腕は、さらに強くなった。
「私も、壱に逢えて本当に良かった。壱、幸せになってね」