約束-promise memory-
-壱 side-
「出掛けた?」
「ええ、大きめのアタッシュケースをお持ちになって…」
珍しい。
若菜が一人で出かける事は。
ちょっと気になるが、俺に何も言わないって事は、あまり気にしない方がいいかもしれない。
何を考えているのか、わからない女だ。
(仕方ないな、明日また来るか)
「では、俺が来たことを帰ってきたら伝えてもらえますか?あと、明日は大事な話があるから。と伝えてもらえますか?」
「かしこまりました」
俺は、若菜の使用人にお願いをして、藤堂寺家を後にした。