約束-promise memory-
若菜 side
「あ~あ、切られちゃった…ねぇわかってるよね?俺、話したはずだよね?」
雄二は私の携帯を見つめ、私に言った。
壱に何もかも知られてしまった。
何のために一人で来たかわからない。
「最低よ。あなたたち」
「人のこと言えんの?お嬢様…あんただって一人の子を犠牲にしようとしてたじゃん」
「もうやめにしたいから、一人で来たのよ?!それをわざわざ…」
「あ、バレたくないことだった?ごめーんごめーん…言ってくれなきゃ。もうバラしちゃったよ」
「……………」
悔しい。
自分にもイライラする。
「けどさ、たぶん来ると思うよ…彼」
「え?」
「その子は連れて来ないけど、俺が一人で行くとかなんと言ってたからさ。とりあえず場所だけは教えた」
「…壱が…」
「まぁどっちにしろ、その子を連れて来なきゃ意味がないから…あんたもその彼もどーなることやら。もしかしたらに賭けてその彼が来るまで待っててあげるよ…おい!」
雄二が仲間に合図をおくると、その仲間は私の腕を掴んだ。
「痛い!離して!」
「ちょっと大人しくしててよ。人質は人質らしくさ」
「い、痛い…」
ロープで手だけを縛られ、柱に繋がれた。
壱が来てくれる。
私がしたことは最低だってわかってても、壱が来てくれるってわかった時うれしくて、涙が止まらない。
壱、ごめんなんさい…。