約束-promise memory-
-若菜 side-
「来たみたいだね…」
「え?」
雄二は、窓ガラスがない窓から下を見下ろした。
「こっちこっち」
雄二は、ちょっと大きな声で下に向かって言った。
(本当に、来てくれたんだ…)
嬉しいはずなのに…今更になって、壱にあわせる顔がない。
怒ってるよね…。
私のことなんて嫌いになったよね…軽蔑…してるよね。
後悔しても、遅いのに。
雄二がコツコツと足音をたてながら、ゆっくり近づいてくる。
「良かったね、お嬢様」
「え?どういう意味?」
「あんたの彼、聞き分けいい人じゃん」
「どういう事?何が言いたいの?」
雄二はニヤリと不気味な笑みを浮かべた。
何?…何なの?
壱がどうかしたの?
「ちゃ~んと、連れてきてるじゃん。あんたが売ろうとした女の子」
「……え?」
まさか…そんな…。
「若菜!!」