約束-promise memory-
【memory.16】壱と凛と塁
-塁 side-
あの後、茜達がいる店に戻って、さっきあった事、解決した事を話した。
茜はあのお嬢様のこと、「許せない!今から一発ヤキ入れて来るわ!」みたいなこと言って、ちょっと大変だったなぁ。
今はみんなとも別れ、壱と少し話がしたくて、公園に来ている。
二人でブランコに座り、何気ない会話から始まった。
「小学生の時、野球の試合が終わった後、自慢大会とか言って、よくこうやって遅くまで話してたよな」
壱がそう呟いた。
「そうだったな。野球の試合とか、凛の話になるときは、必ず2人でこうやってたな」
「そうそう、凛の話する時とかも必ずここだったよな」
「………」
「………」
「凛」
この名前が出た瞬間、俺たちの会話は止まった。
「やっぱり俺はお前が羨ましいよ」
「なんだよ急に」
「5年間の空白って、やっぱキツイな」
「……」
壱は、静かに話し始めた。