約束-promise memory-





-壱 side-



ハァ…何でなんだよ。



「どうすればいいんだよ…俺」




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『今…なんて?』


若菜が変な事を言い出したんだ。


『もうそう決めたの』


『決めたの…って言われても…俺』


若菜から珍しく大事な話だなんて言い出すから、あの日の次の日、話を聞きに行ったのに。


『壱には、本当に好きになった人と一緒になって欲しいって思ったから』


『……………』


『だから、別れよう。私たち』


今、若菜に別れを告げられたところで、俺の状況は何も変わらない。


『壱は、言ったの?南沢さんに』


『え?』


『まだ、好きだって』


『それは………』


『悔しいけど、私には壱を幸せにしてあげる自信がないのっていうか、なくなったの』


そして若菜は俺にこう言った。


『南沢さんに伝えてなきゃ。ちゃんと…ずっと…ずっと好きだったって。まだ、分かんないよ?』







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