約束-promise memory-
-凛 side-
「はい、コーラ!!」
「サンキュ」
塁はきっと、私を元気づけてくれてるんだと思う。
そう、思っていたんだけど。
塁には、何もかも見透かされてしまう。
「もしかして、俺が気遣ってるって思ってる?」
「え…な、何で?!」
「凛って、分かりやすいから顔に出る」
「えっえっ!!ほんと?!わわ」
「ハハ…本当にそう思ってたのかよ」
恥ずかしい…。
「って言うか、半分は当たってる」
「え?」
塁は、ベンチに腰掛けたまま、空を見上げた。
茜色に染まる空が、塁を照らしてくれた。
「最近、凛の本気で笑った顔…見てなかったから…元気づける意味で遊園地に誘った」
「うん…」
「だけどそれは、俺が凛の笑った顔見たかったのもある」
「……うん」
「なんか俺ってさ、独占欲強いみたいで…こうでも積極的にしなきゃ、他の誰かに取られても嫌なんだよ。ってか、取られたくない」
「塁……」
恥ずかしさのあまり、塁の顔が見れなくて、下を向いてしまった。
「これも気遣わせてるって思ってる?……本気だから、俺」
こんな塁を私は知らなかった。
今まで一緒にいたのに。
塁も……
ちゃんと、男の子なんだって思えたの。
「ってなわけで、明日よろしくな」
この時は、何も言えなかった。
茜色の空の下を、一言の会話もないまま、この日はさよならをした。