約束-promise memory-
-壱 side-
結局、帰りの時刻になってしまった。
「じゃ、俺ら先に帰るから」
「おう!!じゃーね凛々、塁!!」
「じゃーな」
「凛、じゃーね!!」
「バイバイ、茜、涼、新…壱も」
「おう」
俺は、片手を挙げることしかできなかった。
「あの2人…今日一緒に帰るんだね」
「2人で帰る方が多かったじゃん」
「けど今日はなんか…微妙な雰囲気だよね」
「柏木君は、何か聞いてないの?」
「どうかな?じゃ、俺も母さんの病院行くから、またな」
「あ、うん…じゃーね」
やっぱり俺は、これ以上あいつらの邪魔はしたくない。
俺が選んだ道じゃないか。
後悔もしたけど、凛がそれで幸せになれるなら、それでいいじゃないか。
俺は今まで凛の幸せだけを願ってきたんだ。
それがどんな形であれ、俺が願ってきたことじゃないか。
ただただ俺は、そう言い聞かせて教室を後にした。