約束-promise memory-
「ねぇ塁……ごめん……」
「…ごめんって…?」
「違うの!その…ごめんってそういう意味じゃなくて…私、塁の気持ちをすごく大事にしたいの」
やっぱり、たった一週間では決められない。
「塁が真剣に私の事を考えてくれているのに、迷ったままじゃ簡単に答えられない」
「…………」
「塁は、いつでも私と真剣に向き合ってくれて、真剣に私の事を考えてくれてて、
ずっと…私のそばにいてくれた…
そんな塁の真剣な気持ちを、私は簡単には決めたくないの」
塁は、私の言葉を黙って聞いていた。
「ずっと待っててとは言わない。けど、あと少し…あと少しだけ…考えさせてくれないかな?お願い…」
塁は、黙って前に向きなおした。
「いやだ………って言ったら?」
「……え?」
「……冗談。なんか、OKもらったわけじゃないけど、すげー嬉しい。凛もちゃんと俺のことを考えてくれてるんだなって思って」
「塁……」
「待つのは、得意だからな俺。お前のこと何年待ってると思ってんだよ…幼稚園のころからだから…う~ん……10年?…いや…12年か?」
そういう塁の背中は、少しだけ寂しげに見えた。
「塁、ありがと」
「言っとくけど、俺は心変わりなんてしないからな……覚悟しておけ」
「………うん!!」
この日の並木道は、風が少し強くて、ザワザワと…何かを知らせてるみたいだった。