約束-promise memory-



-壱 side-


凛、楽しそう。


「なんで謝るんだよ」


「いや…それはその…」



凛の心は、すでに決まっている。

あとは、俺が背中を押すだけ。



「凛は、昔から変わってない」


「え?」


「優しくて、一途で純粋無垢。俺にはわかる」


俺にはわかる…。


「凛はきっと、前から塁のことを好きなんだと思う」


「え……」


「今だから言える。俺は、凛のこと一日たりとも忘れた事はない。凛と塁がいる高校に来たのだって、凛の幸せを一番近くで見守りたかったから」


今まで想いがどんどん出てくる。


「若菜と婚約決めたに、「あー、俺はもう凛との約束守れないんだ」って思って、せめて凛の近くで凛を見守ることが、凛に対する償いだって……正直言い聞かせてた」


「私の幸せ……」


「けど、凛と塁とこうやってまた過ごすことができて気づいたんだ。俺は償いとは言い訳つけて、本当のところはどうなんだって、凛をまたこの手で抱きしめたいんじゃないかって」



凛は黙って聞いてくれていた。







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