約束-promise memory-
私は、柏木君の事を考えていた。
あれは"壱"のようで、"壱"じゃない?
あ~ダメだ。
頭から離れない。
"トンッ"
「いたっ・・・・」
急に塁が止まるから、塁の背中に顔をぶつけた。
「塁、どうしたの?」
「ちょっと来て」
塁は後ろを向いて、いきなり私の腕を引っ張って、今来た道をまた引き返した。
「え!?ちょっと塁?家もうすぐなのに……え?」
私は、自分の家の方を向いた。
家の前に、柏木君が立っていた。
塁は、柏木君が見えたから引き返そうとしたんだ。
「……壱」
私は、腕に力を入れて、立ち止まった。
「塁、離して」
「凛!・・・変な事は考えるな」
「お願い・・・確かめたいの」
私は、思いきり腕を振り払った。
「凛!!」
そして、柏木君の元に駆け寄った。