約束-promise memory-
私は、塁のジャージから手を離した。
「塁がウソついてる事くらい知ってるんだから」
「・・・・・・」
「柏木君は、壱なんでしょ?無駄だよ。私に壱の事を隠しても」
「・・・・・・・っせーよ。」
「え?」
私はバカだから、分からなかった。
私が壱に対する想いで、塁をあんなにも傷付けてた事を。
「壱、壱ってうるせーんだよ!だったら自分で柏木に聞いてみろよ!そんなに気になるなら、柏木に聞いてみりゃいいだろ!」
「……塁……」
塁は私に、その言葉を叩き付けたまま、校舎裏を去って行った。
私はただ、黙って塁の後ろ姿を見てる事しかできなかった。