約束-promise memory-
その時、柏木が教室に入ってきた。
柏木は俺を一瞬見たが、すぐ目を逸らし自分の席に着いた。
壱。
凛が壱の事を知ったら、凛がどうするかは、考えなくてもわかる。
凛は絶対、壱を明るく迎えるだろうな。
裏切られた事なんて忘れるくらい。
笑顔で。
そう考えていると、新が言った。
「昨日、柏木と何かあったのか?」
「何かって?」
「出来れば話してよ!私達も、あんたと凛の力になりたいからさ」
「お前ら」
俺は、こいつらを親友と思ってるから、話そうと思った。
兄貴から聞いた事と、柏木壱と保科壱が同一人物だって事を。