約束-promise memory-
お昼休み、俺らは屋上に居た。
「柏木君はじゃ、あの保科壱君なんだ」
「ああ」
柏木壱と保科壱が同一人物である事をまず話した。
「そっか。なら、凛々にあんな事言ったのまずいかな?」
「あんな事?」
「いや・・昨日ね、凛からあんたと "壱君"の事で喧嘩したって聞いたから、「なら本人に聞いてみなよ」って言っちゃったんだよね」
「で?凛は何て?」
「聞けなかったみたい。柏木君が先に帰っちゃったらしくて。今日の朝のメールで聞いたんだけどね」
「そうか」
「お前が、「気になるなら本人に聞いてろ」って言ったんだろ?」
新が言った。
「ま、まぁそうなんだけど。家に帰って言わなきゃ良かったって後悔はしたけど」
「凛々の事だから、絶対聞くまで諦めないよね?」
「そうね。あの子、柏木君の事、保科壱君と重ねてるみたいだし」
皆は溜め息をついた。
「だけど、たぶんアイツは言わないと思う。「自分は保科壱だ」って」
「どうして?」
「アイツ、昨日言ったんだよ。「俺は凛に正体を明かす気はない」って」
「は?じゃ何のために凛々と塁の前に?」
「そこなんだよな」
そして俺は、兄貴から聞いた話をした。