約束-promise memory-





兄貴から聞いた話。



それは、壱の親父さんが、壱が中学の頃にはすでに亡くなっている事と、お袋さんが今病院で入院している事。



「入院?」


「ああ。兄貴の話だと、お袋さんが入院したのは、アイツが中3の頃だったらしい」


「もう2年も入院してるんだな」


「ああ。だからもしかすると、アイツが俺らを裏切った理由って、何かあるんじゃないかと思って」


「理由・・・か」


「アイツの親父さんとお袋さんって、いつも仲良くて、正直アイツの家族が羨ましかった。そんな親父さんが亡くなって、お袋さんが病気だって聞くと、アイツが、ここに来た理由があるんじゃないか?って思えてきて」




俺だって、信じてなかったわけじゃない。


アイツは人を裏切る事はしない。


そう心のどこかで信じてた。



だけど、凛の涙や凛の悲しい表情を見ると、どうしてもアイツが許せなかった。








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