約束-promise memory-





受付を終わらせたお母さんが戻ってきた。




「混んでるから、ちょっと遅くなるみたいだけど、大丈夫?」


「うん、大丈夫」


「あら?」



お母さんが遠くを見て、首をかしげた。




「お母さん?」



お母さんが見ていたのは、車イスに乗った40代くらいのおばさんだった。



あれ?


あの人どっかで。




「保科さんじゃないかしら」


「!?保科・・・・」




そうだ。


ちょっとしか記憶がないけど、壱のお母さんに似ている。



「きっと見間違いよね?似てるだけかもね」


「そうだよお母さん。壱には確か、女の兄弟は居なかったはずだよ?」


「そうね」




あのおばさんの車イスをひいていたのは、私と同い年くらいの女の子だった。


しかもあの白い制服は、あの有名な女学院の制服。



そんな所に壱の知り合いは居ないはずだから。






< 78 / 309 >

この作品をシェア

pagetop