約束-promise memory-
受付を終わらせたお母さんが戻ってきた。
「混んでるから、ちょっと遅くなるみたいだけど、大丈夫?」
「うん、大丈夫」
「あら?」
お母さんが遠くを見て、首をかしげた。
「お母さん?」
お母さんが見ていたのは、車イスに乗った40代くらいのおばさんだった。
あれ?
あの人どっかで。
「保科さんじゃないかしら」
「!?保科・・・・」
そうだ。
ちょっとしか記憶がないけど、壱のお母さんに似ている。
「きっと見間違いよね?似てるだけかもね」
「そうだよお母さん。壱には確か、女の兄弟は居なかったはずだよ?」
「そうね」
あのおばさんの車イスをひいていたのは、私と同い年くらいの女の子だった。
しかもあの白い制服は、あの有名な女学院の制服。
そんな所に壱の知り合いは居ないはずだから。