約束-promise memory-
-壱 side-
放課後、俺は母さんの病院に向かった。
今日は、凛が学校に来てなかった。
体調でも崩したか。
心配だが、今の俺じゃ様子を見に行く事も出来ない。
塁に全てを任せるしかないんだ。
<病院>
"ガラーッ"
「あら壱。学校、お疲れ様」
「うん。母さんは?体調どう?」
「体調はいいわよ。ねぇ壱?」
「ん?何?」
「……凛ちゃんに会ったの」
母さんが少し間をあけて話した。
「え?いつ?」
「今日の朝よ。風邪を引いたみたいで、病院に診察に来たのね」
「話したの?」
「たまたま会って、挨拶を交わしたくらいよ。だけど凛ちゃんは、私の事覚えてなかったみたい。だから私も何も言わずに、「こんにちは」だけ言ったわ」
「そうなんだ。じゃ凛はやっぱり風邪だったんだな。今日学校休んでたから心配して……」
あ・・・つい凛の事話をしてしまった。
「いや、何でもない」
「壱、もう無理はしない方が」
「いいんだ母さん」
「壱」
母さんには心配かけたくないし、凛には、塁がいるから大丈夫だ。