約束-promise memory-
黒板に先生が、その彼の名前を書く。
「柏木壱(カシワギ イチ)君だ。親の都合で、こっちに転校してきた。皆仲良くやれよ」
「「「はーい」」」
"バンッ"
「壱っ!!」
私は、彼の名前に過剰反応を起こして、つい彼の名前を大きな声で叫んで、立ち上がってしまった。
彼は、私を見つめたまま、立ち止まっていた。
「なんだ南沢、知り合いなのか?」
川島先生が、私の反応に突っ込む。
「い、いや・・あの・・」
教室中がシンとなる。
何やってるんだろう私。と、気付いた時には皆の視線が痛かった。
すると彼は言った。
「俺、この人と知り合いじゃありません」
冷たい言葉。
「そうか。なら南沢、早く座りなさい」
「は、はい・・」
教室にまたざわめきが戻った。