いつまでも...未緒side【短編】
いつまでも...
「春樹ー?ちょっとそこの雑巾とってー」


この春、私は会社の同僚の美山春樹と結婚することになった。


今日は、高校を卒業して直ぐに一人暮らしを始めたこのアパートから、新しく2人で住む家に引っ越す準備をしている。


「けほっ。埃っぽ…あっ!」

―――ガタガタガタッ


棚の上から箱をおろそうとしたとき、手を滑らせて床にひっくり返してしまった。

箱から出てきたのは色褪せたスニーカーと小さなストラップだった。


「あ…これ…」


「未緒、どしたー?…ふはっまたやったのかー」


そのスニーカーは中学生の頃、大好きだった男の子とお揃いで買ったものだった。


「…隼人」


懐かしい風景と想い出が一気にあふれた。

10年も昔のことなのに、昨日のことみたいにはっきりと。
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