小悪魔な幼なじみ





「お母さん」


少し淋しげなお母さんの背中に声をかける。



「あ、雫。

やっとご飯食べる気になった?

今、温めるからちょっと待っててね」


振り返ったお母さんはいつものようにニコッと笑う。


あたしって…きっと恵まれてるよね。


だってお父さんもお母さんもこんなにラブラブで、

こんなに優しいんだもん。



「……お母さん、ごめんね」


「ん?なんのこと?」


「ううん、なんでもない」


味噌汁を温めているお母さんの背中を見つめながら聞いてみる。



「お母さんはさ、お父さんとケンカすること…ないの?」


今まで2人がケンカしてるところを見たことながない。

まあ小さなケンカは何回かあるけど、

でもいつもすぐに仲直りして、

ケンカなんてなかったような空気になるんだ。



「もちろん、あるよ」


「でもいつも仲良いじゃん」


そう言うとお母さんはふっと笑う。



「そうね。確かに雫の言う通りだと思う。

でも仲が悪かったら結婚なんてしてないもん。


仲が良いから結婚したのよ?」


なんだか妙に説得力のある言葉だ。

確かに仲が悪ければ結婚してないかも。


いや…でもなんか違う気がしなくもない。







< 101 / 215 >

この作品をシェア

pagetop