小悪魔な幼なじみ
「お母さん」
少し淋しげなお母さんの背中に声をかける。
「あ、雫。
やっとご飯食べる気になった?
今、温めるからちょっと待っててね」
振り返ったお母さんはいつものようにニコッと笑う。
あたしって…きっと恵まれてるよね。
だってお父さんもお母さんもこんなにラブラブで、
こんなに優しいんだもん。
「……お母さん、ごめんね」
「ん?なんのこと?」
「ううん、なんでもない」
味噌汁を温めているお母さんの背中を見つめながら聞いてみる。
「お母さんはさ、お父さんとケンカすること…ないの?」
今まで2人がケンカしてるところを見たことながない。
まあ小さなケンカは何回かあるけど、
でもいつもすぐに仲直りして、
ケンカなんてなかったような空気になるんだ。
「もちろん、あるよ」
「でもいつも仲良いじゃん」
そう言うとお母さんはふっと笑う。
「そうね。確かに雫の言う通りだと思う。
でも仲が悪かったら結婚なんてしてないもん。
仲が良いから結婚したのよ?」
なんだか妙に説得力のある言葉だ。
確かに仲が悪ければ結婚してないかも。
いや…でもなんか違う気がしなくもない。