小悪魔な幼なじみ
「ねぇ、竜馬くん?」
体育が終わって教室に戻ったあたしはニヤニヤ顔を抑えながら竜馬くんに話しかける。
「ん?どうしたの?」
「次、美術だね」
そう言った瞬間、竜馬くんの顔がひきつる。
「雫ちゃんって意地悪?」
「まっさかぁー!
そんなワケないじゃん」
あたしはニコッと笑う。
あのね、竜馬くんの唯一の苦手なこと。
それは…絵。
もう面白いくらいに画力がないの。
まるで…小学生の描いたような絵。
思わず笑っちゃったんだ。
ま、当たり前に竜馬くんに睨まれたんだけど。
でもそのあとに竜馬くんは恥ずかしそうに言っていた。
「俺…どうも昔から絵だけは描けないんだ。
ホント、おかしな話なんだけどさ。
母さんも父さんも人並みに絵はうまいんだ。
なのに俺の絵と言ったら…この通り、ね?」
その言葉を聞いてまた笑ってしまった、あたし。
だって普通に考えると遺伝子的に特別うまいことはなくても、人並みには描けるはずでしょ?
それなのにこんなに絵が苦手、って…
完璧すぎないところがまたいいんだよね、竜馬くんって。