小悪魔な幼なじみ
「俺さ、1ヶ月この学校で過ごして1つ、思ったことがあるんだよね」
そんな言葉にあたしは顔をあげて竜馬くんを見つめる。
こうして横に立つと改めて竜馬くんって背が高いんだなぁ…って感じる。
「何をやっても廉にだけは絶対に勝てない、ってこと。」
「え?どうして?」
頭の良さは廉にも負けてないと思うし、
運動神経だって廉といい勝負だと思うんだけどな、あたしは。
「なんて言うんだろうなぁ…
本能的にそう思ったんだ。
今までいろんな学校行って、いろんな人を見てきたけど、
廉ぐらいすごいヤツには会ったことがなかった」
廉ってそんなすごいヤツなの?
あたしにはちょっといろんなことができちゃう幼なじみ、
としか思えないんだけど。
「多分、雫ちゃんには廉の本当のすごさは分かんないと思う」
「どうして?」
「そりゃあずっと一緒にいるからだよ。
あんなすごい人が幼なじみなんだから雫ちゃんにはきっと、そこらへんの男はヘボく映るんだろうな。」
そんなことはないよ、そう言おうと思ってやめた。
だって竜馬くんの言ったことはあながち間違ってないんだもん。
どんな男の子も無意識に廉と比べてて。
あ、廉の方が頭いい
とか
あ、廉の方が運動できる
とか、そうやって比べて男の子を見てる節があるから。
「でもあたし、竜馬くんはすごい男の子だって思うよ?」
廉と比較してもあたしの目にヘボくなんて映らないよ?竜馬くんは。