小悪魔な幼なじみ
「それはすごく嬉しいね。
ま、だとしても俺は廉には勝てない」
「そんなことないよ!」
「そんなことあるんだよ、これが。
けど…今、俺は廉に絶対に負けられないことがあるんだ」
竜馬くんが真っ直ぐ前を見つめる。
その横顔は凛々しく、カッコ良かった。
「負けられないことって…?」
そう聞くと竜馬くんはふっと笑って言った。
「今はまだ、秘密。
だけどいつか必ず雫ちゃんも気がつくよ」
この言葉に首を傾げることしかできなかった。
「ま、そのときまで楽しみにしてて。
じゃあまた明日」
「うん、また明日」
うちまであと30メートルくらいのところで竜馬くんと別れる。
結局、竜馬くんの言いたいこと、何1つも分からなかった気がする。
ま、けど後に知りたくなくても知ることになるんだけどね。