小悪魔な幼なじみ
「あたしを?
なんか用事でもあった?」
「……とくにはない、かな?
ただ雫ちゃんと話したかった、っていうのじゃダメ?」
竜馬くんはそう言ってまた、笑う。
不覚にもドキッと心臓が高鳴って自分に驚いた。
「いや…全然、大丈夫…だけど」
深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。
ホント、竜馬くんって厄介だ。
こうしてときどき、あたしの心臓を驚かすんだから。
「そう言えば今日、部活は?」
「今日は休み。
うらやましいでしょ?」
「いいなぁ…野球部は休みなんてほとんどないから…」
そこから部活トーク。
お互いの状況を話して、顧問の先生の悪口言って。
そんなことをしているとあっという間に時間が過ぎる。
「そろそろ行かなきゃ」
もう野球部の練習が始まる時間になったあたしは立ち上がる。
「そっか。
じゃあ頑張ってね!」
手を振って竜馬くんと別れるとき。
その声は聞こえたんだ。
「………廉くん!」