小悪魔な幼なじみ
「どうしたんですか、岡崎先輩」
既に部活の格好をしている廉。
ホントはこんなことしてる場合じゃないんだよ、あたし。
分かってるけど。
分かってるのに、動けない。
「あの…ね?」
岡崎先輩が上目遣いで廉を見つめる。
悔しいけど。
悔しいくらいに可愛いんだな、岡崎先輩って。
「あたし…廉くんのこと」
できることなら、耳を塞ぎたかった。
できることなら、この場からいなくなりたかった。
だけど…2つとも、なぜかできないんだ。
カラダがあたしの言うことを聞いてくれない。
「前からずっと…スキ、なんだよね」
そんな言葉を聞いて、胸が痛かった。
ギュッて痛くて、痛くて、すぐそこまで涙が押し寄せていた。
「岡崎先輩…俺…」
このあと、廉がなんて言おうとしたのかは分からない。
だって…
だって…
岡崎先輩が…
廉に…
……キス、したんだ。
さっきまで動けなかったはずなのに
突然、呪縛から解けたように自由になったあたしはその場から逃げた。
「………………雫ちゃんっ!!」